体験談
Experience report

鈴木 彩奈

私は人見知りで、頑固で、偏見を持ってしまうという自分の性格が嫌いでした。高校留学を決意したのは、未知の環境に自らを置く事で自分を客観視し、そのような性格を変えたいという思いからです。また、それまでの私にとってドイツはお城やクリスマスマーケットのイメージをもたらす憧れの対象に過ぎませんでした。しかし、いざ行くことを考えると現地の日常生活に想いを馳せるようになり、自分の知らない事の多さに気付かされると共に、益々この国の魅力に惹かれていきました。

想像以上に大きかった言語の壁

ドイツで私を待ち受けてくれていたのはとても賑やかなホストファミリーでした。6人家族の家庭では常に会話と笑いが絶えることがなく、素敵なホストに出会えた事を嬉しく思っていた反面、初めのうちはその輪に加われないことが非常に辛かったのを覚えています。言葉の壁は留学前に想像していたより大きく、家と同様に学校でも周りの人が何を話しているのか分からず、作り笑いをしている自分がいました。このことが悔しくて私はドイツ語の勉強のために文法書やドイツ語の本を必死に読みました。この努力によって語学力が上達したのは確かですが、何かが違うと気が付きました。それは、当初の目的を見失いかけていたということでした。一人で頑なに勉強ばかりしていては性格の欠点を直せるはずがありません。せっかくドイツにいるのだからもっと人との会話を通じて語学を学ぼうと考え直しました。ホストシスター達にも思い切ってそれまで感じていた疎外感と自分の決意を打ち明けると、喜んで協力してくれると言ってくれました。 結果、それまでに比べて家族との会話は増え、いつしか私自身もそれを楽しんで共に笑うことが出来ていました。

大きな壁を乗り越えて・・・

それからは最高の7か月間でした。ホストファミリーとは多くの特別なことも経験しましたが、 それ以上に日々の何気ない日常生活に幸せを感じました。食事の準備をしたり、犬の散歩をしたり、ソファーで談笑する時間が私とホストファミリーを本当の「家族」のようにしてくれたのだと思います。また、クラスやクラブ活動では沢山の友人ができ、時にはふざけ、時には議論を交わしました。他にも、YFUのオリエンテーションでは世界各国から来た留学生と語り合い、国籍や人種の違い以前に、皆ドイツが好きな一高校生だという共通感覚から、それらの違いを超越する繋がりを築くことができました。

私はドイツでの YFU高校留学プログラムを通してドイツの文化に加え、世界中の人の考えを知ることが出来ました。これによって私は価値観の多様性を受け入れる心を持つようになれたと思います。今でも知らない国から来た人と話す際は、恐れではなく期待と興奮を覚えます。昔の自分では考えられないくらいに1年の高校留学を経て精神的に成長出来たと私は自負しています。