体験談
Experience report

藤井 梓

私は2012年の夏にドイツのザクセン州に留学をしました。なぜ英語圏などのアメリカではなくドイツを選択したかというと、高校でドイツ人留学生と知り合いドイツの文化や歴史に興味を持ったことと、英語以外の言葉が話せるようになりたいと思い、かつそれを将来に活用するためにはヨーロッパで話者人口の多いドイツ語が適当ではないかと考えたからです。
 ドイツに着くとまず現地のYFUが行う一か月間の語学研修があります。これにはドイツ語クラスとオリエンテーションクラスがあり、たとえばドイツ語クラスではドイツ語の文法や会話表現などを学び、時には街に出てみて通行人の方にインタビューをするなど、生のドイツ語に触れるための授業でした。オリエンテーションコースではドイツの文化、歴史や私たちがドイツに適応していくための方法を学びました。

積極的にクラスメイトや先生に尋ねるように

この語学研修が終了すると、いよいよ現地の高校に通い始めました。学校は常に驚きの連続でした。 時間割や科目選択などどれも日本とは違うシステムに最初は戸惑い、つたないドイツ語では授業もわからず、 宿題が出されたことに気付かないことすらありました。この状況に危機感を覚えた私は「始めたばかりなのだから仕方がない。」 と思うようにして、下手なドイツ語でも積極的にクラスメイトや先生に尋ねるようにしました。
私の高校は大きいもので留学生も珍しくなかったのですが、私がよく質問をすることでまだドイツ語を上手く使いこなせないのだと伝わり、さまざまなフォローを受けることが出来ました。

日本を外側から見るきっかけをもらいました

留学もしばらくたつといくつかのゼミがYFUで開かれます。そこで世界各国からドイツに来た留学生たちと知り合いました。ゼミでは自国の自慢料理やお菓子を作って持ち寄ったり、グループでウォークラリーをして街の歴史を知ることが出来るようなプログラムがありました。どれもとても楽しく、日本にいては決してこのように数多くの国の友達は出来なかったと思います。今でもそこで知り合った友達とは連絡を取り合い、新年のカードを送りあっています。

 しかしドイツ留学に慣れてきた頃、たまに日本を思い出し落ち込む時がありました。そういう時に常に力になってくれたのは私のホストファミリーです。私にはホストファザー、ホストマザー、またそれぞれ年下のホストシスターとホストブラザーがいました。シスターは日本に強い興味を持ち、なにかあるといつも質問攻めにあいました。このことで私が日本を外側から見るきっかけをもらいました。皆が明るく優しい家族で、ドイツ語が分からないと言えば一緒にドイツ語の映画を見ようと言ってくれたり、ホストペアレンツが出かける日には私がシスターとブラザーにご飯を作ったりするなど、私を家族の一員として受け入れてくれました。

留学が出来て本当に良かった

私はYFUで留学が出来て本当に良かったと思っています。たしかに留学生活はドイツ語漬けの毎日でもう勉強したくないと思う時もありましたが、留学で得られるものは行く前に想像していたよりずっと大きく多いものでした。一年間という長いようで短い時間をどう過ごすかは自分自身が決めなければなりません。そのことを意識することで有意義な留学生活を送ることが出来ると思います。